幕間劇酒井憲一(2013.8.18)
しわがれ声のつぶやきが聞こえる。
ら楽よ。
紅顔の少年いまや白髪三千丈の老人たちは祈る。
此岸と彼岸、悲劇を突き抜けて生きる元気を与える劇団40
CARATよ。
沢山のダイヤを見つけて光らせてきた。ありがとう。
わしらはそう思うんじゃ。
溶明。
ひざまずいている白髪三千丈の姿が浮かぶ。
少女の一団が「メビウスの環 堂廻目呟(ドウメグラ)」の横断幕と、柵
に蛇、蛇、蛇をつるした∞型街路の書割を掲げ、合唱しながら登場。
劇団は知っている。おんなごころの深淵を。
蜘蛛が好き。蛇も好き。爬虫類案外平気。みんなの怖がるも
の、骸骨、魑魅魍魎(ちみもうりょう)、お化け好き。
でも蝶やチョコや愛が大好き。
若者ペアがダンスしながら登場し、踊りながらうたう。
愛がなければ地獄、愛がもっとなければもっと地獄、愛はもがく希
望、上昇する希望。すがりつこう。抱きしめよう。
天空から風神の胴間声。
われは風神なり。多層同時進行の劇中劇がら楽舞台じゃ。風と共
に落ちろ、堕ちて救われろ。呪いはアングラの祈りで消そう。
ら楽の祈り、ら楽の祝いぞ。
白髪三千丈が立ち上がり、つぶやきから両手を広げ絶叫する。
ら楽はシュールの女神。永遠なれ。
溶暗。